カプリチオ
その変装による視覚的詐欺で、全くと言っていいほど注目を浴びない。

いつもの艶のある黒髪ではなく、ボサボサの黒の長い髪(ウィッグ)。

蒼い瞳は黒のカラーコンタクトで隠し、

姿勢を悪くして背の高さを誤魔化し(本人は187cmだが前にいる烏田の184cmよりも今は低い)、

顔も俯き加減で相当暗く見える。

そして極めつけは太い黒縁のこれまた分厚いレンズの眼鏡である。
瓶底ではないだけマシだ。



これだけで見れば、今の彼はまさに“典型的な根暗男子”の印象を与える少年だ。

そんな彼は今、こんなことを思っていた。



なんて快感なんだ…!

周りが全く俺に注目しない!

これが「普通」か……!



勢い余ってガッツポーズをする勢いである。

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