カプリチオ
「あ、露草、校長の話覚えてる?」
「…うん」
「あの寮が4つに分かれてるって話!別に特殊でも何でもないよね?普通じゃん」
「…そうだね」
何でこいつは俺にずっと話しかけてくるんだ?
こんな無愛想な奴と話しても面白くないだろうに。
「そういえば露草、──────」
ガラガラガラ…
真琴が何か言いかけたとき、誰かが教室に入ってきて教壇の前に立った。
背の高い綺麗な男の人だ。
暗い茶色の髪をきっちり整えた髪型。
「全員いるな。俺……僕は西田敦人(にしだあつと)。質問ある者」
なんで「僕」って言い直したんだ?
「ハイハイハイハイ!」
すかさず食いつく女子たち。
イケメンに目がない様子。
「そこの」
指差すな。
「はいっ!私、ヤヨイって言います!年齢は!?」
必死だな。
「28」
「好きな色は!?」
「青」
「誕生日は!?」
「8月2日」
「彼女います!?」
「妻と子供2人」
その言葉を聞いて熱心にメモをとっていた女子どもは放心する。
ヤヨイとやらもショックを受けているようだ。
とんだ茶番だなー。
笑えるんだが。
「はい、質問タイム終わり。出席番号早い順に自己紹介してけー」