カプリチオ
着々と自己紹介を済ませていく俺より出席番号が早い奴ら。
もう真琴の番だ。
真琴が席を立つ。
「え〜っと、俺は烏田真琴。八代北(やしろきた)中学出身、趣味は体を動かすことと人と話すことかな?10月11日生まれでーす。姉と妹が一人ずついるよ。好きな食べ物は甘いもの!嫌いな食べ物はキノコ類かな。俺、色素薄いけど、生粋の日本人だよ!烏田って苗字あんまり好きじゃないから真琴って呼んでね!だって、烏田なんて真っ黒なイメージでしょ?暗いイメージは嫌じゃん?部活はバスケ部に入ろうと思ってます!素人だけどね!あはっ!サッカーか野球かバスケで迷ったんだけど、天候関係なくできるスポーツがいいな〜って思って。あ、それと俺色素薄いからあんまり日光浴びたらダメなのもあるかな。そばかすできるどころじゃないんだよね〜。そういえば小さい頃に友達と海に行ったことがあってね?しかも真夏に。俺の肌が真っ赤っか!も〜ヒリヒリしてやばかったよ!痛すぎて病院に行ったよ〜。こっぴどく両親に叱られたね。いや〜懐かしいな〜」
な、長い。
「中二の頃にもね〜」
まだ続くか。
「でね?もう面白いのなんのって。だから俺はそのとき言ってやったのさ!お前は名無しか!って」
近所のオバサンのようだ。
人と話すことが好きって言ってたが、ただ単にお前が話すのが好きなだけだろ。
絶対誰も聞いてない。
いや、イケメンが好きな女子は聞いているようだ。
おいそこの女子、フンフン頷くなよ。
「お〜い、真琴、話長い。自己紹介じゃなくなってるぞ?」