カプリチオ

「だから俺が寿司を嫌いに………え?なんか言った〜?敦人」

「ああ言った言った。お前の悪い癖出てるぞ」

「えーずっと喋ってた?」

「自覚ないのか?あと、俺のことは西田先生と呼べ」

「……は〜い、西田先生」



怒涛(どとう)の如くピーチクパーチク話していた真琴を止めてくれてよかった。

耳がおかしくなりそうだったしな。



それにしてもこの二人、面識があるらしい。

なんとなく顔が似ているような…。



「ハイッ先生!」
キタ、ヤヨイとやら。
ビシッとそびえたつ右腕。
挙手の勢いがプロ級だ。

「何だ、ヤヨイ」
投げやりな担任。
ヤヨイのあの態度を見習えよ。

「西田先生と真琴君の関係って!?」
声が大きいよ……。

「あ〜従兄弟」
答える西田。
面倒臭そうだな。

「うん、従兄弟だよ〜。俺の父さんと敦人…西田先生のお父さんが兄弟なんだよ〜。ちなみに兄が西田先生のお父さんで弟が俺の父さんね。それでさ〜もうほんと仲いいわけ。一緒に山行くぞー!なんて言ってこっちが迷惑被るくらいの…」

「真琴うるさい」
すかさずマシンガントークを止めに入る西田。
真琴は筋金入りの近所のオバサンだな。
井戸端会議ができるかもしれない。

「あ、ごめん」
えへへ〜なんて言いながら話をやめる真琴。
反省してないなこいつ。




「じゃ、次の奴自己紹介しろ〜」

……忘れたと思ったら。

仕方ない。
ここはやるしかない。
できるだけ目立たないようにゆっくりと席を立つ。


「神凪露草、泉崎(いずみさき)中学出身、読書」
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