カプリチオ

俺が自己紹介を淡々と済ませた瞬間のクラスメイトの顔は傑作だった。

いや、そんなこと思ってる場合じゃない。



「え…は、え!?さっきの声の主って神凪か?」

担任よ、さすがにその発言は失礼だと思う。

が、返事をしないのも失礼なので、「はい」と小さい声で返事をする。



「ええええええ!!」

とたんに大きな声で驚くクラスメイトたち。

「やばっイケボすぎる〜!」
「あんな綺麗な声してるのに外見あれだよ?」
「もったいないよね…」
「聞き惚れた…声だけは」

酷い言い草である。


「そうなんだよ、あつ…西田先生〜。俺も初めて聞いたときはビックリだったよ!男の俺が聞き惚れるとかどんだけいい声してんの!とか思って」

「はいはい静まれ静まれ」

また暴走しそうになる真琴を静止する担任。

「それだけ声がいいなら…神凪、お前放送部に入るのはどうだ?いっきに人気者だぞ」

いや、人気者になったら元も子もない。
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