夢の結婚 ……
第四章 相良 由美子
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由美子の家は裕福とは言えず、両親共に
働きに出ていて由美子はいつも1人だっ
た。
しかしある時、由美子の元に真二という
男の子がやってきた。
その子お母さんの妹の子供だと言う。
由美子は弟ができたようで嬉しかった。
しかし、由美子の両親は真二の存在を消
したいようで、常々何処かの施設に真二を
預けようとしていた。
由美子はその事について何か言おうに
も、言ったら自分まで家を出されるのでは
ないかという不安があった。
その為、家では真二に話しかける事すら出
来ないでいたのだ。
それでも由美子は真二が心配だった。
-そんな時、家から少し離れた公園で真
二を見つけた。
真二は寂しそうに1人ベンチに座り、何
かを眺めているようだった。
由美子は思い付いたように近くの駄菓子
屋へ走り、お小遣いでキャラメルを買って
また公園に走った。
真二にキャラメルをあげると、嬉しそう
に食べていた。
真二はどうやら、サッカーが好きらし
い。
真二はじっと、公園でサッカーのキャラ
ターの話をしている子達を見ていた。
由美子はそうだ、と思い付いた。
私はなにもしてやれない。
せめて…と貯めていたお小遣いをはたい
て、サッカーボールの飾りがついたキーホ
ルダーを真二にプレゼントした。
真二は目を輝かせて嬉しそうにそれを眺
め続けていた。
いつか、自由になったら、一緒にサッ
カーをやろうと決めて。
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ある日、夜遅くになっても真二の姿が見
えないので由美子は勇気を出して母に真二
の事を尋ねた。
「…ね、ねぇ、おかあさん。」
「なぁに、由美子? もう遅いから寝なさ
いよ。」
「しんじって……さっ、…帰って…来たっ
け…?」
「…………」
「ねぇ…? おかあさん…?」
「真二はね、親戚のおばあちゃんと田舎
の方に帰ったのよ。 由美子には寂しいか
らって、黙って行っちゃったのよ。」
「…え…っ」
「なん…で…!? 」
「また、その内会えるわよ、ほらもう寝
なさい。」
由美子は知っていた。
真二には他に引き取ってくれる親戚など
いないことを。
そして、施設に容れられたのだろう事
を。
「そん…な……真二…」
由美子は部屋で1人泣いた。
「…ごめん…ね ……ぁ、ぅ……真二…」
由美子はただ、泣いた。
泣きつかれて、眠ってしまうまで、ただ
ただ、泣いたのだった。
由美子の家は裕福とは言えず、両親共に
働きに出ていて由美子はいつも1人だっ
た。
しかしある時、由美子の元に真二という
男の子がやってきた。
その子お母さんの妹の子供だと言う。
由美子は弟ができたようで嬉しかった。
しかし、由美子の両親は真二の存在を消
したいようで、常々何処かの施設に真二を
預けようとしていた。
由美子はその事について何か言おうに
も、言ったら自分まで家を出されるのでは
ないかという不安があった。
その為、家では真二に話しかける事すら出
来ないでいたのだ。
それでも由美子は真二が心配だった。
-そんな時、家から少し離れた公園で真
二を見つけた。
真二は寂しそうに1人ベンチに座り、何
かを眺めているようだった。
由美子は思い付いたように近くの駄菓子
屋へ走り、お小遣いでキャラメルを買って
また公園に走った。
真二にキャラメルをあげると、嬉しそう
に食べていた。
真二はどうやら、サッカーが好きらし
い。
真二はじっと、公園でサッカーのキャラ
ターの話をしている子達を見ていた。
由美子はそうだ、と思い付いた。
私はなにもしてやれない。
せめて…と貯めていたお小遣いをはたい
て、サッカーボールの飾りがついたキーホ
ルダーを真二にプレゼントした。
真二は目を輝かせて嬉しそうにそれを眺
め続けていた。
いつか、自由になったら、一緒にサッ
カーをやろうと決めて。
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ある日、夜遅くになっても真二の姿が見
えないので由美子は勇気を出して母に真二
の事を尋ねた。
「…ね、ねぇ、おかあさん。」
「なぁに、由美子? もう遅いから寝なさ
いよ。」
「しんじって……さっ、…帰って…来たっ
け…?」
「…………」
「ねぇ…? おかあさん…?」
「真二はね、親戚のおばあちゃんと田舎
の方に帰ったのよ。 由美子には寂しいか
らって、黙って行っちゃったのよ。」
「…え…っ」
「なん…で…!? 」
「また、その内会えるわよ、ほらもう寝
なさい。」
由美子は知っていた。
真二には他に引き取ってくれる親戚など
いないことを。
そして、施設に容れられたのだろう事
を。
「そん…な……真二…」
由美子は部屋で1人泣いた。
「…ごめん…ね ……ぁ、ぅ……真二…」
由美子はただ、泣いた。
泣きつかれて、眠ってしまうまで、ただ
ただ、泣いたのだった。