不良王子のぽっちゃり姫
「遊びの女だからスタイル良い奴ばかりだったけど、体型とか関係なくアゲハは可愛いよ」
ふとアゲハを見た。
「ぜんばいぃー、辛がっだんでずね。何があっだら言っで下ざい」
また泣いてる!?
俺の事なのに、自分の事のように泣くアゲハを見て、嬉しくなって思わず抱き締めた。
「もう女遊びとかしねぇから。もし何かあったらアゲハに言う」
「ちゃんと言ってくれないと、怒りますよ?」
「あぁ」
オレンジ色に輝く夕日の中、アゲハの小さな手を繋ぎながら帰った。
「わざわざ家まで送ってくれて、ありがとうございました」
「ちょっと携帯貸して」
「携帯?いいですよ」
首を傾げながら、ポケットに入っている携帯を取り出すアゲハ。
それを受け取り慣れた手付きで操作しアゲハに返した。
「俺のアドレス入れたから」
勘違いかもしれないけど、アゲハは恥ずかしそうに俯きながら、携帯を握りしめている。
「早く中入れ、風邪引くぞ」
「はい、先輩も気を付けて。連絡します」
何度も振り返るアゲハが家に入るのを見届けて帰ろうとした。
《今日は楽しかったです、ありがとうございました。あと…泣いてばかりで、ごめんなさいでした。》
フッ…アイツ。
メールするの早ぇから。