小さな勇気
私は何もできないまま冬休み前になってしまった。
高校は筆記試験のない面接だけの高校を選んだ。勉強したくなかったから。
「ねー相談があるんだけどいい?」
「宮本のこと?」
「え!なんで分かったの?なんで知ってんの?」
「いやいやみてれば分かるし」
「どうすればいいか分かんないんだよねー」
「手紙でもかけばいいじゃん」
「うん、そうだね」
さっそく家で書いて明日の放課後、下駄箱にいれることにした。
「おはよう♪」
「おはよう麻衣。朝から元気だねーいれてきたの?」
「まだだよ~」
手紙を書くことじたいはまだいい方だった。
でも、やり過ぎだろう、もう書かなくてもいいのに。自分でも分かってたけど、あの頃の私は何も気付かず自分がやっていることが間違いだったとは知らずに手紙の返信をまっていただろう。
「いよいよだね!」
「返信くるといいな~」
「頑張ってね」
「うん。」
受験のことは忘れたかった。今のまま時間がとまればいいのに。
本当に止まってたら間違いに気付けてたのかもしれない。

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