*甘いモノ*
パサッ........
「髪乾かす時だけ嫌なんだよね、ロングって」
またまた表情が豊かと言っていいのやら、激しいと言っていいのやら分からないが梓は不機嫌でいた。
私もそれなりに出ているところは出ているので、こんな所を男に見られたらどうなるか定かではないが
今は誰も居ないのだ。
たまには俗に言う裸族?に近いような事をしても構わないだろう。
そう思いながらドライヤーを手に取った。
ブォォォォォォン
ゆっくり、丁寧に手でほぐしながら髪を上から下へ乾かしていく。
なんかどっかで聞いたことがある。
こういうのは一番乾きにくい上からやると直ぐに乾くって。
昔、教えてもらった知恵を思い出しながら10分とたたずに終わったドライヤーを今度は片付けはじめる。
こういう時の髪の乾かしかたも、きっと良い方法とかあるんだろう。
サラサラにする乾かし方とか、
髪の毛がピンと下に伸びる方法とかさ。
そんなこと出来たらいいなって思いながらドライヤーを棚へ置いた。
でも、私は何をどう頑張ろうと地味で存在が薄めの女の子。
何をやったって、さほど可愛くならないのにね。
「はぁ......香菜見たいに可愛くなりたい。」
「ふぅん......そんなこと考えてたの。」