男の愛した女


「処刑される前に娘に面会できたんです。そのときに預かりました。あなたに渡して欲しいと言われまして…。バカな娘です。年齢を偽ってまでなぜ処刑されたのか…」


「どういうことですか?」


「あなたも知っているでしょう?16にならない女は一人前として認められないために罰が軽減されることを…なのにお七は14とは言わずに16だと言い続けたそうなんです。面会したときには、刑は決まっていて、娘に会って話しても『私は罰を犯しました。親不孝ものですので死んでお詫びいたします』と言い続けるんです。結局、私たちにさえ放火の理由を話しはしませんでした」


ここに来たときから泣きはらした目をしていた母親はとうとう泣き崩れ

父親は複雑そうな顔で母親を支えながら帰っていった

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