イケメン差し上げます



そのおかげで涙は引っ込んだ。



だから


「もうそろそろ戻らなきゃ」



そう言って、お店に戻ろうとするも

また手首を引っ張られる。






「何?」


「……だろ?」



え?



……聞こえない。




「……もう一回」


そう言うと彼はあたしをぐっと引き寄せて左の耳元で



「右耳、聞こえにくいんだろ」




そう、囁いた。








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