イケメン差し上げます




「ねえ、慧也」


「ん?」



「今日、住むところ見てこようと思ってるんだけど……」





そうあたしが言うと


ガタっ


と彼は机に足を引っ掛ける。






「ちょっと、大丈夫?」



「あ、わり。平気」



まだ寝ぼけてるのかな。




「だからね、ちょっとだけ付き合ってよ」



もちろん一人で住むところを探すのは得意ではないけど。


一つでも多く、慧也と思い出を作りたかったんだ。






「……あ、そっか。

もうそんな時期か。


……別にいいよ、最後くらい」





〝最後〟って言葉がやたらと耳に残る。









< 127 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop