イケメン差し上げます
「ねえ、慧也」
「ん?」
「今日、住むところ見てこようと思ってるんだけど……」
そうあたしが言うと
ガタっ
と彼は机に足を引っ掛ける。
「ちょっと、大丈夫?」
「あ、わり。平気」
まだ寝ぼけてるのかな。
「だからね、ちょっとだけ付き合ってよ」
もちろん一人で住むところを探すのは得意ではないけど。
一つでも多く、慧也と思い出を作りたかったんだ。
「……あ、そっか。
もうそんな時期か。
……別にいいよ、最後くらい」
〝最後〟って言葉がやたらと耳に残る。