イケメン差し上げます
それからたくさんの物件を見て回り
慧也はともかく、あたしはとにかく心身共に疲れてしまった。
「……本当に疲れた」
やっと家に着き、安堵の声。
だって朝早くから家を出たのにもう夕方だもん。
疲れるわけだ。
たくさん歩いて、たくさん話した。
まるで少しでも想い出を残すかのように。
でもそんな気持ちは見せず、他愛もない話ばかり。
高校生の時はもっと女の子らしかったんだけどな、
なんて言ったら
「それはない!」
って知りもしないくせに否定してきて。
だから
「女子力上げなきゃな」
って言ったら
「それは言えてる」
って真顔で言ってくる。
ムカつくけど、純粋に
今日が楽しいって思えた。
それと同時に
好きとも……思ってしまった。
もう自分に嘘はつけない。
誤魔化しなんか効かない。
だから、今日
────伝える