イケメン差し上げます
「うわぁ」
あまりの無残さに思わず息を飲む。
卵を割ることも出来ないのに、何でオムライス作るなんて言えたのか
甚だ疑問である。
「なんでお前はヤワなんだ」
潰れた卵に向かって問いかけている慧也。
卵さん……そんなこと言われても、ねぇ?
彼はもう当てには出来ないので、仕方なくあたしが殻を取り除いた。
その後も慧也の斬新な調理は進んでいって
出来上がった頃には、オムライスとはとてもじゃないけど言える代物ではなくて
スクランブルエッグが、かろうじて乗っかってる程度だった。
それでも、真剣そのものの眼差しや、失敗してお茶目に笑う姿を見ているから
あたしにとっては絶品のオムライスとなった
……ということにしてあげよう。
「「いただきます」」