イケメン差し上げます
彼女なんだってことが
実感できるから。
慧也の手は、思っていた以上に大きくて骨がゴツゴツしてて
ドキドキする。
「何?あんまり見惚れるなよな」
「違うし、自意識過剰、ナルシスト」
少し言い過ぎたと思っても、もう遅くって
「ふぅん、そっか」
繋いでた手を、離される。
……違うんだってば!
そう……じゃなくって、いきなり手繋いで登校なんて恥ずかしいんだもん。
見惚れてたの、バレちゃうなんて
もっと恥ずかしいんだもん。
離れてしまった手は
あたしを悲しくさせる。
少しだけショックを受けて、下を向いてれば
「何、そんな反応どこで覚えたの」
そう言って、またあたしの手を奪う。
そして今度は指を絡める。
「繋ぎたいならそう言え。
そうしたら……いつでも繋ぐから」
……だから我慢はするな、と。
君は、言葉を残す。
顔はそっぽを向いていて、あたしの方なんかちっとも見てくれないけど
繋いだ手をキュッと握られて
幸せを感じる。
あたしばかりが好きで、片想いと変わらないんじゃないか
ってそう考えてた昨晩が馬鹿みたいに思えて
あたしたちは学校へ向かった。
もちろん、手は繋がれたまま───