イケメン差し上げます
「……本当に来ちゃった」
翌朝。
あたしの向かった先は昨日の本屋さん。
自分でも馬鹿馬鹿しいとは思ってる。
だってチラシはあんなにショボイし
それに誰の判断でイケメンって決めたのかわからない。
もしかするとあの店長のことだからイケメンの基準がすごく低くて普通の人をくれるかもしれない。
けど、何だろう。
そんなこと分かりきっているのに
この本屋さんに足を運ばずにはいられなかった。
……別に来たって帰ればいいのに。
っていうかそもそも、あんなチラシ捨てればいいのに。
そう思う一方、どこかで出会いを求めている自分がいる。
……だから話を聞くだけ
と、自分にそう言い聞かせて、店長のいるところへ向かった。