鴉の濡れ羽色
幼なじみと言えるのだろうか。
随分幼い頃から、隣の家の男の子の事は知っていた。
理由は、幼稚園が一緒で、小学校が一緒で、中学校が一緒だったから。
子供の数が少なくて小学校は全30人で6年間を共に過ごし、憧れであったクラス替えも、同じ理由でしても同じような顔ぶればかりで全く味気ないものだった。
“久地河 洸夜”
義務教育の9年間の間、一度も見なかったことは無い名前だ。
読み方は忘れたけれど、物静かで本ばかり読んでいた割りには整った顔立ちをしていて、クラスの中でも存在感の強い子であったことは今でも覚えてる。
小中と毎朝顔を合わせ、学校の教室で顔を合わせ、部活中も姿が見え、放課後も家の前で顔を合わせていた男の子。