恋伝鳥!!!
ヒロは何も隠さず、教えてくれた。
ヒロは、『肺がん』という病気で、進行しすぎていて、完治できるのは、わずか10%ほど…
余命3か月、長くても半年しかないらしい…。
今日は1日だけ退院が許され、髪を染め、私に会いに来たのだという…。
私に会いに来た理由は、病気のことを伝えたかったから、と聞いた。

「俺さ、死ぬんだってよ。この天井も、壁も、床も真っ白なこの部屋で…。だから、日向と一緒に卒業できねぇかもな…。」
ヒロは幼い子供のように、泣き出した…。
「お、れ…死にたくねぇよ…」
「……。」
私は、ヒロの話に何も答えることができず、ただただ話を聞くことしかできなかった…。
「俺、日向と出会った時からずっとお前が好きだったんだ…。お前しか目に入らなかったよ…。いろんな女に告られたりもしたけど、全て断ってた。あの日、日向が告ってくれた時、すげぇ嬉しくて…でも、その2日前に、がんだ、って宣告されてた。彼女置いて死ぬなんて絶対無理だし、幸せにしてやれねぇ、って思って、ずっと会いに行けなかった…。あん時の返事だけど……。ごめんな…。本当はすげぇ付き合いてぇ…けど、この体じゃ…このあと少しの余命じゃ、無理なんだ…。お前を辛くさせるだけなんだよ…。」
「ヒロ…」
…これで、いいのか。
これで、ヒロを放っておいて…。
本当に半年で死ぬ訳じゃない……

……だから!


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