蝶々、ひらり。
「好きなんだ。ずっと高校の時から」
彼女の気持ちを考える余裕はなかった。
今まで気持ちを押さえ続けてきたからか、言葉にすればするほど彼女への想いが湧き上がってきて、何度伝えても足りないとしか思えなかった。
「有紀だけ好きなんだ。ずっと好きなんだ」
少し力を緩めて彼女の顔を見ると、濡れた瞳が揺れている。
けれどもやはり彼女の瞳から涙はこぼれ出さず、俺は堪え切れずに彼女の唇をふさいだ。
不思議な事に彼女は抵抗しなかった。
ただ漫然と俺のキスを受け止める。
疑問を追及しようという意識はなかった。
彼女の表情を見ないように固く目を閉じて、唇を何度も吸い上げる。
そのまま、無抵抗なのをいいことに彼女の服のボタンを一つずつゆっくり外した。
小さく震える体。次第に露わになっていく肌。
薄く目を開けて覗き見ると、日焼けをしていない白い肌がやたらに眩しい。
彼女は時折体を震わせながらも、俺の手を止めることもなかった。
イヤじゃないのか?
抵抗しないのか?
時々湧きあがってくる疑問を振り払いながら、スカートのファスナーを外す。
スカートが重力に任されるままに落ちる。それは、力尽きた蝶々が地面へと横たわる姿に似ていた。