大好きな君へ

あたしは家に帰る途中、あの聖斗とよく来た公園の前で立ち止まった。

知らない間に公園に向かって、歩いて行くあたし。

自販機の前。
よく聖斗とおごったり、おごってもらったジュース。
あたしは、そのジュースを一本買って、いつものベンチに座った。

――聖斗…。

ここに座ると、一気に聖斗との思い出が溢れだしてきた。

冷めていた…そんなの、あたしの思い込みだったんだね。

あたしは、聖斗を忘れなきゃいけない。「好き」だったって気持ちを忘れなきゃ…

あたしの気持ちを、この思い出の公園で忘れられるなら、悔いがない。もう、忘れなきゃ…

でも、なんで涙が流れるの?忘れなきゃいけないのに…。
別れた時には、流れなかった涙が今、急に流れだした。

たくさん泣いた。分からないけど、たくさんの涙が枯れるまで、泣いた。


ねぇ…もう泣かない。
もう聖斗を思わない。
もう聖斗を考えない。
もう少し強くなる。
もう目を反らさない。

そうあたしは、決めたんだ。

これでいいんだよね…。

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