大好きな君へ

『あたし、大丈夫だよ…聖斗…あたし、大丈夫だから、教室に戻ってよ…。加奈枝も…。少し疲れただけだから…変なことしないから…』

そういうと、聖斗があたしの方へと歩いてきた。
聖斗が来ればあたしは、きっと甘えてしまう。その事で、春を傷つける…

『今…来ないで…。今来たらあたし…春を苦しめちゃうから!!』

――来ないでよ。

あたしのそんな言葉も、聞かないで聖斗はあたしに近づいてくる。

『来ないでってば!』

それでも聖斗は…あたしの前に来て、あたしは一瞬叩かれると思った。
だって、聖斗の手があがったから。
その瞬間

ギュッ――

あたしは、聖斗に抱き締められた。
その途端にあたしは、腰が抜けた。

加奈枝もあたしの近くに来た。あたしは、どれだけ甘えてるんだろ…
春を好きじゃいけないのに、聖斗に抱きしめられた瞬間、あたしはすごく安心して、泣き続けた。

春…。あたしは、春の気持ちに甘えていた。今だって甘えている。春じゃなきゃダメって思わなきゃいけないのに、あたしは…今…
聖斗に抱きしめられて、安心してるんだから。


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