大好きな君へ

バンッガチャ―――

あたしは部屋に、閉じこもって何度も何度も、嘘だって思いたかった。

トントン―

お母さんが部屋のドアを叩く音。だけど、その音は優しかった。

「美夕夏…明日、病院行こう」

あたしは、泣いた。今までにないくらい泣きじゃくって、何も食べないで、寝ないであたしは…泣いた。
泣きやんだとしても、あたしは呆然と外を見た。

綺麗な空。夜中なのに、星は輝く事をやめない。
そんな空を見ていても、あたしは…怖かった。

次の日。
あたしはお母さんと一緒に、産婦人科に行った。
お母さんは、優しくて、頼もしかった。

お母さん?お母さんはあたしが出来たとき、今のあたしと同じだった?
どうしたらいいか、わからなくて…泣いたりしたの?

そして名前を呼ばれて、中に入ると、検査が始まった。
怖いのに…お母さんが手を握ってくれると、安心した。

そして、待合室にいるとき、お母さんは笑って

「美夕夏…もし赤ちゃんがいても、美夕夏はお母さんの子供だからね。安心しなさい。生む生まない関係なく、美夕夏の好きなようにしなさい…。」

お母さんはあたしの頭を撫でてくれた。
ずっとずっと、先生に呼ばれるまで…。

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