大好きな君へ

またさっきと同じ先生。
先生は笑顔で
「おめでとうございます」
って言った。
やっぱりあたしの、お腹の中には赤ちゃんがいた。それは、まぎれもなく聖斗の子供。

カメラで赤ちゃんを見た時、赤ちゃんは小さくて分からないくらい。
でも…あたしのお腹の中で、懸命に息をしていると考えると、生まないわけにはいかない。
だって、あたしと聖斗の不注意で、この子はできたのに、またあたしの勝手で殺すことはできないよ。

あたしは決めた。

『あたし生みます』

あたしは、お母さんになります。決めたんだ。聖斗がダメって言ったって生む。

お母さんは、あたしを見て笑顔だった。
お母さん…あたしは、お母さんみたいな人になるからね。心に誓って、あたしは新しい命を授かった。



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