大好きな君へ

幸せだった。
新しい命がきっと、最後のあたし達の愛を深めてくれたから。

聖斗とあたしは、二人の実家に近いアパートを借りて住み始めた。
二人にはまだ、大きい部屋。だけど、そのうちに三人になる、部屋はどうなのか?って今か今かと待ち望んでいる。
だけど一番は、聖斗。だって毎日のように

「女かなぁ?男かなぁ?」

なんて聞いてくるんだから。聖斗はお父さんになる気満々。あたしも、お母さんになる気満々だけど。

『分からないよ。まだ2,3ヶ月くらいなんだから(笑)ほら行くよ!遅刻しちゃうもん』

あたしと聖斗はまだ、学校に行っていた。
バレないように、加奈枝にも誰にも言わないでいた。
周りは同棲してることくらいしか、知らない。
別に話す必要もないでしょ?

そんな甘い考えをしていた、あたし。

< 156 / 201 >

この作品をシェア

pagetop