大好きな君へ

聖斗は深くお辞儀をした。

そして、

「美夕夏がお別れ言わなきゃ、明日香さん天国でも薬をやりつづけるぞ」

そう言って、出ていった。

お別れを言わなきゃ…天国でも…薬をやりつづける。


そんなの嫌。

『明日香…ありがとう。あたしね、明日香があたしのそばにいたから強くなれたよ。ゴメン…ね。明日香…助けられなくて…。あたし頑張るから…バイバイ…そして、薬しちゃダメだからね(笑)………。』


そしてあたしは、明日香とサヨナラをした。
明日香がそばから消えてしまった事は、悔しかった。だけどあたしは、ちゃんとサヨナラをした。

そして、葬式やお通夜に出た。

でも明日香と、サヨナラをしたけれど…やっぱりまだサヨナラをしきれていなかったあたしは、泣き続けた。

でも…それでも別れは来てしまった。

明日香が焼かれた後、骨は粉々になって、すぐに壊れてしまう骨を見ると…また泣いてしまった。

『酷いよ…』

あたしは、薬が憎くくてたまらなかった。

明日香を壊した薬。何もかも、明日香を壊した薬…。

涙が溢れてきて仕方ないよ。明日香…

その時、

「美夕夏さんですよね?」

すごく…優しそうな女の人があたしの、目の前にいた。
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