り☆birth彼女♪
第10話

「はぁ〜疲れたぁ!」


僕はナナちゃんの買いまくった荷物をナナちゃんの部屋に置いて、リビングで一息つく


「お疲れ様…はい!」


ナナちゃんが僕にジュースをくれる


「どうしたの?」


「一応、お礼よ…アンタが1番荷物持ってくれたしね…」


「そか…ありがと…」


いつの間にか買ってたんだ…ありがたくそれを頂く事にする


結構甲斐甲斐しい所あるんだなナナちゃん…


しばらく休憩して、夕飯にする事にする



「今日、そうめんで良い?」


夕飯を用意するにもごはんを炊いてなかったのでそうめんで良いかとナナちゃんに尋ねる


「うん!暑いしね〜」


僕は早速支度を始める


…そうめん単体じゃ味気ないので、キュウリとか、トマトとか、野菜を盛り付けてみる


「アンタ…凝ってるわね…」


「凝るって…キュウリとトマトを切って乗っけてるだけだよ?」


「いや…私が死んでる間に家事がパワーアップしてるわ…マジで」


ナナちゃんがそうめんで感動してくれる


そして、そうめんが完成して、食べながら2人で話す


「なんだっけ?ろーどく部だっけ?楽しいの?」


ナナちゃんは朗読部の事を聞いてくる


「うん…そりゃ楽しくなかったら退部してるって」


「まぁそうよねぇ…まぁ私も入るからには頑張るし、楽しませてもらうわ!」


やる気満々のナナちゃん


「つーか、朗読って言ったら文化部じゃない?アンタなんで運動部に入らなかったの?背が高いんだからバスケとかさ」


…確かに、バスケやサッカーも少し考えた


でも、バスケもサッカーも別に好きでは無かったし


「まぁね…だってあの部長じゃん?」


「…アンタもあの部長に無理矢理入部させられたの?」


「まぁね…」


僕は中学に進学したばかりの時を思い出す




ー1年生の時、部活掲示板の前ー


僕は部活を迷っていた


周りのクラスメイトは早々に部活を決めて入部していた


だけど、別にやりたい部活があるわけじゃない


そんな感じだったので僕は部活を決めあぐねていた


それで参考にと部活の掲示板を見に来たんだ


バスケ…野球…バレー…卓球…剣道…テニス…サッカー


運動部はまぁオーソドックスな部活が名を連ねていたけど、興味が沸かない…


文化部を見る


吹奏楽、科学、家庭科、美術…


家庭科…料理とかするのかな…


でも、絶対に女の子ばっかりだよなぁ…


僕は掲示板の前で考える


「あら…また落ちちゃってるわ…」


掲示板の下に、1つのマグネット


部活の名前はマグネットで貼り付けてあるタイプだった


その内の1つが落ちてたんだ


「マグネットが弱くなってきてるのね…変えないと…」


女子生徒…制服のリボンを見ると上級生だった


ポニーテールが可愛らしい先輩だった


僕は先輩がペタンと張り直したマグネットを見る


「朗読…?」


聞いた事の無い部活だった


「…何かしら?」


僕を見る先輩


「あ…いえ…」


僕は少し気まずくなって、掲示板を立ち去ろうとする


「ちょっと待って」


先輩が僕を呼び止める


「君…1年よね?部活決めてないとか?」


「え…えと…決めてないですけど…」


「マヂ?じゃあさ!ちょっと来てみない?」


先輩が僕の腕を掴んで引っ張る


「え?いや…ちょっと!」


「いーじゃんいーじゃん!お茶しましょ♪」


そして、連れられたのは校舎の1番奥の部屋


「ラーン!入部希望者よ〜!」


に…入部?


「あら?珍しいわ…男の子じゃない」


部屋にはまたしても先輩の女子生徒…背が高くてロングヘアの人だった


「入部希望…え?」


僕は訳が分からずオロオロする


その様子を見たロングヘアの先輩は


「ちょっとマナミ…また誘拐したの?」


「朗読部って呟いてたし、入りたそうだったし!」


いや…それは違うだろう…


「全く…そのやり方じゃこの間も結局逃げちゃったじゃないの…」


僕の前にも被害者がいたんだな


「でもまぁ…物は試しだし…話だけでも聞いてくれないかしら?」


ロングヘアの先輩が優しく僕に語りかけてくる


「ま…まぁ…はい…」


仕方なしに、僕は説明を受ける


どうやら、本を読みながら演技をする部活らしい


なんだその恥ずかしい部活は…


「まあ部活の内容はこんなとこねえ…どう!?えと…名前なんだっけ?」


名前も聞いてない内に勧誘してくるポニーテールの先輩


「えと…坂崎レンジです」


「そか!レンジ君ね?どう?仮にでも良いからさ〜!お願い!」


僕に向かって手を合わせてお願いしてくるポニーテールの人


「実際…今この部はマナミと私しかいないのよ…出来れば私からもお願いしたいわ」


ロングヘアの先輩もお願いしてくる


でも、正直迷う…


そんな様子を見たポニーテールの先輩がむんずと僕の手を掴む


そして…僕の手を自分の胸に…!


「あ!いや!触らないで!あん!揉みながらクリクリしないで!あはん!」


「ちょ…!何を…!」


「あん!いやん!ラン助けてぇ!犯されちゃうわ!いやん!この子上手いわ!」


「ちょっと!離してくださいよ!何自分から…!」


僕は何とかポニーテールの先輩をひっぺがす


何なんだ…この先輩は…!


「ふぅ…意外に手が大きいわね…」


「はぁ…はぁ…!」


暴れたので息が切れる…


「何?コーフンしてんの?」


「いや…何を…!じ…自分から触らせたんじゃないですか…!」


「まぁいきさつはどうであれ、まさか…私のオッパイ揉みしだいた挙句、このまま帰るつもりかしら?」


き…脅迫じゃないか…!


「ごめんなさいね…マナミはタチが悪いのよ…でも、それだけ必死なのよ…それだけはわかって?で…どうかしら…?」


ロングヘアの先輩が優しく聞いてくれる


僕は考える


どのみち、やりたい部活があるわけじゃない…


それに、僕は…何かに集中したかった


ナナちゃんの事を少しでも忘れられるなら…


それに、この先輩達なら…楽しそうだし…


僕の答えは1つだった


「分かりました…よろしくお願いします」


「マジで!?じゃあ3日くらい仮入部って事で…」


「いえ…正式に入部…したいです…!先輩の胸触っちゃいましたし♪」


僕は苦笑いをしながら告げる



「うひょー!やったぁ!私のオッパイサイコー!」


ポニーテールの先輩がピョンピョン跳ねて喜ぶ


「君…本当に良いの?」


ロングヘアの先輩が驚きを隠せない


「はい…なんか…楽しそうだし…よろしくお願いします!」


そして、僕はノブとマイコちゃんを誘って、現在の部員数に至る訳だ…




「へぇ…」


ナナちゃんが箸を止めて僕の話を聞いてくれていた


「まあそんなところかな…だから最初は僕もど素人だったから大変だったよ…」


「でも、部長の胸触って入ったのね…変態ね…」


「いや、あれは無理矢理だから…」


「あはは!分かってるわよ!まぁ楽しみだわ…ご馳走様!」


食事を終えるナナちゃん


「あ!そうだ…明後日時間ある?」


「明後日…?あるけど?」


部長からメールが来てたんだ…


ナナちゃんの入部の歓迎会


みんなに早く新しいメンバーを紹介したいってのもあって、部長が急遽開く事にしたんだ


その旨をナナちゃんに伝える


「別にそんなに気を使わなくて良いのに…でも、お言葉に甘えまちゃおうかな…♪」


ナナちゃんも遠慮しながらも乗り気だ


「それに、その日は学校の担任に挨拶しに行く日だし…ちょうど都合が良いわ!」


「担任…誰か分かる?」


「確か…木村ってせんせーよ」


木村…学校ではその名字の先生は1人しかいない


しかも、僕の担任ぢゃないか…


「どうしたの?」


「ん…いや…」


ここは喜ぶべきなんだろうか…


まあとりあえず、学校に行けばナナちゃんもおのずと分かるだろうし、ここはあえて伏せておこう


そして、ナナちゃんが先にシャワーを浴びて、僕の番になる


「ふぃ…痛た…」


ゆっくりと湯船な浸かる


今日は大荷物を持ったせいで腕が痛いや…


ーチャプンー


お湯が跳ねる


…この湯船…ナナちゃんも浸かったんだよな…


もちろん、裸で…


イケナイ妄想が僕の頭を支配する


ゴクリ…


の…飲んじゃおっかな…お湯…


い…いや…それはかなり変態だよな…


しかし、僕は自分の下半身を見る


とっても元気である


…しちゃおうかな…最近してなかったし…うん…!


なんか我慢出来ない…


「レンジー!」


いきなりお風呂のドア越しのナナちゃん
の声


「うわーーー!」


「ちょ…アンタどうしたの!?」


「いや…えと…ビックリしただけだよ!うん!」


「そ…それなら良いけど…アンタバスタオル持って行って無かったから持って来たのよ…」


「あ…ありがと…」


「ふふん…!感謝なさい!」


……ダメだ…やっぱりイケナイ事はやめよう…


心臓が止まるかと思った…



そして僕はお風呂から上がる


…暑いな…!


そうだ…アイス食べよう…!


僕は冷凍庫からアイスを取り出す


しかし、1人だけ食べるのはなんだかさみしい…


ナナちゃん食べるかなー?


僕はアイスを持って2階に上がる


「ナナちゃん?はいるよー?」


「……!!」


ナナちゃんの部屋に入ると、ナナちゃんが…下着姿だった


今日買ったであろう、ブルー下着…


しかも、部屋にあった姿見の鏡で…こう…胸を両腕で寄せて、親指を咥えたり…セクシー?なポーズを1人で取っていた


「ちょ…!あ…アンタ…!何止まってんのよ!閉めなさいよ!バカ!アホ!」


「あ…!ゴメン!」


僕は慌ててドアを閉める


「んだー!なんで入ってきて閉めんのよ!エッチ!スケベ!変態!」


なぜだろう…僕は部屋に入ってしまった


「も…もう良いわよ…!この変態!」


ナナちゃんは大急ぎで服を着る


「えと…ごめん…で…でも何をやってたの?」


「べ…別にアンタにはカンケー無いでしょ!そういう気分だったの!」


いや…気分であんなウッフンみたいなポーズを取るのだろうか?


「ったく…ちゃんと了解得てから入りなさいよね…」


「うん…ゴメン…」


僕はナナちゃんの部屋から出ようとする


「あ、レンジ…やっぱり待ちー!」


ナナちゃんが僕を止める


「アンタさ…部長…だっけ?あーいう…セクシーなのが好みなの?」


「え?あ…いや…」


答えに困る僕


「ど…どうしたの?急に…」


「いや…気になっただけよ…」


…今日はあの本見つかったからなあ…


しかも、貧乳とかあったし…


「…まぁ良いわ…」


答えを出さない僕にナナちゃんがため息をつきながら呟く


「え…あ…」


「ほら!早く出てよ!私は寝るの!」


僕はナナちゃんの部屋から追い出されてしまった


僕の両手には、溶けかかったアイスが握られていた…
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