【完】甘い香りに誘われて 3 極道若頭×やんちゃな姐さん
先代と切った仁義を思い出したながら
「早速、お控え下すって有難う御座います。手前生国と発しますところ、東海道は駿河の国でござんす。…」とはじめると
八重さんは真剣な面持ちで私をみつめていた。
「姓は藤堂 名は 結衣と申しやす。出会いは何であれ、任侠を歩む同志との出会い。近藤組で受けた恩義は忘れる事なく一層精進してまいりやす。どうか駆けだしの姐さんの私に叱咤激励よろしゅうお頼もうしやす。」
切り終わるとにこにこしていた顔がひきしまり
「ご丁寧なるお言葉有難う御座います。。申し遅れて失礼さんにござんす。手前生国と発しますところ…」
低いドスのきいた声で仁義を切り始めた。
その言葉のひとつひとつを聞き逃さないよう私は真剣に聞き入った。
「姓は近藤 名は八重と申しやす。極道で生まれ極道で散る八重桜。手前の名だけでも極道と呼ばれる限り共に歩いていただきとうごぜぇやす。
以後、万事万端、お願いなんして、ざっくばらんにお頼申します。」
「ありがとうごぜえやす。どうぞお手をおあげなすって。」
「それでは困ります。」
「それではご一緒にお手をあげなすって。」
「ありがとうごぜえやす。」
「ありがとうごぜえやす。」