出会ったのは吸血鬼でした。
第一章*出会い
新月の夜道で
ガサリ、
手に持っているコンビニ袋が歩くたびにガサガサと音をたてる。
コツ、コツ
ヒールをはいた私が歩く音。
その二つだけが、道路に響いていた。
「……。(遅くなっちゃったな)」
今日は久しぶりに遊ぶ友達とお出掛けをしたので、楽しくて随分と遅くなってしまった。
それに加えて、帰りにコンビニによったせいで、あまり一人歩きするにはよろしくない時間だ。
チラリ、と腕時計をみると、短針が天辺をこえていた。
「暗いなあ、」
今日は新月なのだろうか。月が何処にも見当たらない。
街灯だけが道路を照らすなか、ポツリと独り言がもれる。
今日は随分と楽しかった。
久しぶりに会う友達との外出はとても刺激的で、いつもは退屈な日々がその時だけは色がさしていた。
だけど、もういまは一人。
「また、つまんない生活だ……」
そう、私が呟いたのと、ドサッと音がしたのは同時だっただろうか。