恋とか愛とか


ちゃんと。
ちゃんと下田先輩にお礼を言わなきゃ。



家に着いて携帯をひらく。



下田先輩にメールしてみる。


何から書けばいい?

助けてくれてありがとうございました?

そんな言葉でいいのかな。


私の感謝は伝わる?


悩んでいると
手の中にある携帯が震えた。


ディスプレイには 下田先輩 の文字。



で、電話っ!


不意打ちに驚いて
思わず電話に素早くでる。



「おっ、もしもし?葵?」


「は、はいっ!!」


「…………今日さ、部活見に来てた?」


「っ………………ぁ、まぁ…………。」



「………………それで、真志と帰ってなかったか?」



み、見られてた………………。



「あ、ぁの………………べ、別に深い意味はないです!」


なに弁解してるの私。


そんなことよりお礼を言わなきゃいけないのに。


「なんで真志なの。」


「はぃ?」


「ぁ、いや………………。」



「っ、あの……下田先輩っ。」


「なに?」


「助けてくれてありがとうです。」


「ん。まぁちょっと遅れたけどな。」


「あと…………クラスの女の子たちに言ってくれたのも嬉しかったです。」



そう言うと電話の向こうから先輩の声が聞こえなくなる。



「……先輩……??」



「ぃゃ…………それ誰から聞いたんだよ。」


「た、高橋先輩……です。」


「っ、あいつね、後でシメル。」


「いや!あの、それは………………。」



「ウソだよ。(笑)」



ウソ……?



「シメルわけないだろ?(笑) 葵はアホか!」


「ご、ごめんなさい…………」



なんで下田先輩は


私に優しくしてくれるんだろう。



なんで…………。



「まぁ、友達は友達を守るのは当たり前だから、気にすんな!」



「ぁ。………………ありがとうございます。」





そうだ。



友達




だった。




友達



なんで友達の言葉に……



沈んだのだろう。



「んじゃ、おやすみ。」



「はぃ。おやすみなさい。」



電話が切れて



私はそのまま目を閉じた。



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