恋とか愛とか
ふと横をみると
下田先輩が寝息を立てて眠っている。
整った顔。
この甘いマスクに何人の人がトリコになったんだろう。
先輩…………………………。
好きです。
でも。
私なんかに 先輩と恋することは許されない。
王子様はお姫様と結ばれるんだもん。
そんなこと 誰だって知っている。
私が1番知っている。
だけど………………。
私はムクっと起き上がって小川の淵に立つ。
流れている水にそっと手をいれる。
「つめたっ。」
異常気象と呼ばれるほど暑い今日には ちょうど良かった。
「ん、ぁ 葵…………?」
先輩が起きて私に近づいた。
「ぁ、おはようございます。」
「目が覚めて横にいなかったからビックリした。」
「ご、ごめんなさい…………川がキレイだったからつい……」
先輩が笑いながら川に手をいれる。
「葵……。」
「はい?」
「悩んでることあるなら言えよ?」
ドキッ……
悩んでることバレてる。
「な、悩みなんてないですよっ!」
「…………そうか?」
「はい。」
少しの間
川のせせらぎだけが二人の間を流れた。