君と僕の半年間

「みんな、転校生を紹介しよう！高坂 愛唯(こうさか めい)だ」


朝からハイテンションな担任に連れられて来たのは季節外れの転校生。


「どうした？入ってこい」


なかなか入らない転校生に先生は手で来いとやっている。

転校生が静かに教室に入る。
それと同時に教室の空気がしん、と静まる。


「えっと…高坂 愛唯です。これからよろしくお願いします」


入ってきた転校生は、胸より少し上くらいのストレートの髪で、どちらかというと可愛らしい人だった。
教室は静まったまま沈黙が流れる。


「おい、そこはよろしく、とか何かあるだろ。何か」


何も反応しない僕たちに先生は苦笑いしながら訴えるように言う。


「よろしく」


数人の生徒(ほとんど男子)が小さく言った。


「じゃあ、高坂はあの席だ」


こうして、僕と君は初めて出会った。
君は覚えてないだろうね。
まだ話したこともなかったし、目も合わなかった。
でも、僕は覚えている。