君と僕の半年間
休み時間。
当然のように高坂はクラスの女子に囲まれていた。


「愛唯って呼ぶね!」


「うん」


「愛唯ってどこから引越してきたの?」


「隣の市だよ」


大人しそうなイメージで、控えめな子だった。
クラスの女子の質問にちゃんと答えているけど、あまり嬉しそうではなかった。
質問されるのが苦手なのかもしれない。


「あ!愛唯のカチューシャ可愛い!!」


「これ?」


「そうそう」


愛唯がしていたのは、可愛らしいピンクのカチューシャ。
小さいリボンが着いていて女の子らしい。


「これはね、誕生日に貰ったんだ」


嬉しそうに愛唯は微笑む。
貰った時のことを思い出しているようだった。


「誕生日っていつなの?」


「誕生日は……3月10日」


女子達の質問は休み時間が終わるまで続き、次の時間からは校内案内をしているようだった。





3月10日。


僕の誕生日。


そして、君の誕生日。


何となく君が気になりはじめたのは、この時だったのかもしれない。
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