君と僕の半年間
「ただいま」
「愛唯、おかえり。学校、どうだった?」
「楽しかったよ」
つい先日、父親の仕事の関係で引っ越すことになった。
ここに来るのは初めてではなかった。
私は友達の名前は忘れずに覚えていたし、
また会って話ができると思うと嬉しかった。
だけど、私のことを覚えている人はいなかった。
「仕方ないよね」
「どうかしたの?」
「ううん。何でもない」
新しい家は一軒家で、綺麗だった。
自分の部屋もある。
もうすでに女の子らしい部屋となっている。
「すぐご飯にするね」
「うん」
部屋に戻り、部屋着を着てリビングに戻る。
ドアを開けると、美味しそうなカレーの香りがした。
「手伝うね」
そう言って食器を並べる。
カレーの香りで段々お腹がすいてくる。
「それじゃあ食べようか」
今日も食卓にお父さんの姿はない。