君をください
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こんばんは。と挨拶を返すと

男性は少し驚いたような顔をした。


そして、嬉しそうに微笑む。



が、特に会話することもない

なにせ初対面だ。



しかも時刻は夜の12時。


正直

めっちゃ怖い




『じゃ、じゃあ。』



逃げるが勝ちだと

軽く会釈して男性の横を通りすぎ


原っぱの出口へと足早に歩く。




『待って!』



静かな原っぱに響く男性の声。


これは私に言っているんだよね?




恐る恐る振り向くと


男性は少しだけ私の方へ歩いて来た。




そして、私から2メートルほどの近さまで

近づくと、止まった。




『なんですか?』


警戒心をゆるめることなく訪ねると


男性は静かに深呼吸を1つ




まっすぐ私を見つめて口を開いた。





『好きです。君をください。』






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