雨の日の神様
淡い色の紫陽花に雨の雫が落ちる。


私は小さく溜息をついて無人駅を出た。

最近、雨ばかりだ。別に、雨が嫌いな訳じゃないけれど……。

今日、私は傘を持っていない。

ということは、私は30分以上もある家までの道のりを雨に打たれながら歩いて帰らなければならない……しかも、上り坂を。

制服が汚れてしまうのは絶対だ。


田舎ののんびりとした綺麗な景色が疲れを癒してくれることが唯一の長点だ。



坂道のてっぺんに見えるのは、こんもりと盛り上がった森。


神様の住む森、

神森という。




……まぁ、頑張るか!

私は気合いを入れて坂を上り出した。
< 2 / 11 >

この作品をシェア

pagetop