雨の日の神様
高揚する気分を隠すかのように、私は慌てて前を向いた。

「じゃあ、さよならっ」

背を向けて歩き出そうとした時、


「……傘」

不意に、後ろから声をかけられた。


「え?」

「それじゃ、ずぶ濡れでしょう。傘、貸しますから使ってください」


そう言って、神社から出てきて私に傘を手渡してくれた。

私は、慌てて傘を押し返す。


「で、でも、そんなことしたら……」


貴方が濡れちゃいます。
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