貴方に魅せられて
翔平さんが私の髪の
毛先の方から少し持ち上げて
匂いを嗅いだ。

「シマのとこ行って来たのか?
シマの美容院の懐かしい匂いだ。」

…失神しそう…



「あんたの髪…綺麗だな…」

そう言って
初めて翔平さんが私に笑いかけた。

限界だった。
私はその場に腰砕けて
倒れそうになった。

「おい!どうした!?」

翔平さんがとっさに私の腰を抱く。

「な…なんでもないです…。」

私は最後の力を振り絞って
翔平さんの側からなんとか離れ
自分の部屋へとヨロヨロと
歩いて行った。

「面白い女…」

翔平さんはそう言いながら
私の後ろ姿を見送っていた。
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