君が髪を切った理由
君が髪を切った理由
時間は七時五十分。
教室の扉を開けて、今日も君は真っ直ぐ僕の所にやってくる。
肩に掛かる跳ねた髪を気にしながら、ご機嫌な笑顔で覗き込むんだ。
「聞いてよハル。昨日の夜ね、初めて真寿がメールくれたの。
それってすごくない?」
彼女は亜紀。
僕の友達、真寿と付き合ってる。
そして僕は
そんな彼女の相談相手だ。
「付き合ってたら普通だろ。何がすごいんだよ」
「だってさ、真寿って私と二人の時って全然喋らないんだよ。ハルも一緒の時はあんなに笑うのに。なんだかハルがうらやましい。
でも、そんなクールなところに惚れちゃってるんだけどね」
「ふーん」
「ちょっと!
メールの内容聞かないの?」
そんな会話にも、本当は慣れたつもりだったけど。
「あっ、真寿だ」
二人でいるところを見るのは、やっぱり苦手で。
できることなら
今すぐクラス替えをしてもらいたいって、毎日思ってた。