やっぱり、無理。
北島まりあは、初対面の時から歳のわりに長身で、体の成長も早かったようで。
まだ高校1年の処女だったにもかかわらず、妙な色気があった。
フェロモンムンムン二枚目俳優という、父親のDNAを受け継いだのか。
それとも。
銀座の人気クラブの美人ママという、色香と美貌をもつ母親のDNAなのか、既にたまらない魅力があった。
それは意識したものではなくて。
なんでもない仕草や。
ふとした時にみせる、不安げな表情。
そして、何といっても・・・怯まない強い瞳は。
まさしく、そそる、いい目をしていた。
その上、家庭環境のせいか冷めた物言いは大人びていて。
その年代特有の、いわゆる姦しい口調もなく、淡々としていてクールで。
だけど、興味をもつ視点が俺と似ていて。
でも、時々すねる口調が、やっぱり年相応で・・・それがまた可愛く感じて。
12も年下のガキなのに、まりあとの会話は自然で楽しく。
俺の事を先生なんて呼ばせずに、ジローと名前であえて呼ばせたり。
気が付けば、俺の方から話しかけ、自分の事を無意識のうちに色々語っていた。
たっぷりと、まりあの唇を堪能した後。
俺はベッドに上がり、まりあの横に座りなおした。
「・・・ねぇ・・・・舌は・・い・・・・・の?」
よほど喉が渇いていたんだろう、ゴクゴクとのどを潤した後ペットボトルのふたを閉めながら、まりあが俺を見た。
そして、俺に話しかけてきたのだが、途中からよく聞き取れなかった。
喉がそんなに嗄れたのか・・・?
「・・・・シタ?・・・・・・・ああ、ベロの事か・・・なんだよ、今のじゃ足りなかったってことかー?」
まりあの言葉が舌の事を言っているのだと気が付いて、散々絡めあっていたのにまだ舌が欲しいのかと、俺は頬をゆるませながらまりあの顎に指をかけた。
だけど。
「違う。昨日、東野さんとキスした時の事聞いているの。てゆうか、昨日の事、ジローからちゃんと聞いていないし。そんなジローとキスなんかしたいと思うわけないでしょ。」
冷めたまりあの言葉が返ってきた。
つうか、家へもどって散々キスしたじゃねぇかよ。
「・・・あのなぁ、だから、あれはキスじゃねぇって――「そう、じゃあ。あくまで自分の意思じゃなくて、惚れた相手じゃなきゃ、口がくっついても、キスじゃないっていうんだ。そう、わかった。じゃあ。私の口とジローじゃない男の口がくっついていても、キスじゃな――「ああっ!?お前、俺以外の男とキスするつもりかっ!?浮気すんのかっ!?」
自分でも、滅茶苦茶だとは、思う。
だけど。
まりあが他の男と・・・なんて考えただけで、頭に血が上る。
俺はそのまま、まりあを押し倒した。