やっぱり、無理。
視線を感じ、まりあを見ると。
眉間にシワを寄せていた。
まあ、最初に女関係があったのはバレているし、今はやましいことがないからと思いそのままを言おうと口を開きかけたが。
「今の人・・・ジローが最初に家に来る前に、エッチした人でしょ。」
既に、バレていた。
「・・・おー、そうだが・・・何でわかった?」
「香水が、同じだったから。」
「ああ、なるほどなー。」
「ふーん・・・。」
「だけど、あれからヤってないし、会ってない。それに、他の女達全部お前と会ってからすぐ切ったぞ。」
そこだけは、ハッキリさせておかないと、そう思いキッチリ言ったつもりだったのに。
「何で?そういうの、セフレっていうんでしょ?何で、皆と切ったの?」
今となってみると、まりあと会う前であろうと後であろうとムカついていたんだと、理解できるが。
その時の俺は、そんな気持ちに気が付かず、言い方を間違えたようで。
「お前がいるから、必要ないだろ。」
もう少し、自分の気持ちをきちんと伝えておかなくてはいけなかったと後悔することになったのだが。
その時は。
黙り込んだまりあを見て、納得したのだと勘違いをしてしまった。
それから数日して、帰宅すると。
俺が出かけている間に、まりあも課題の件で出かけたらしく。
帰宅時間が書かれた簡単なメモが残っていた。
まりあは、あまりメールをしない。
電話か、こういうメモを残す。
まりあの柔らかな字をみて、口元が自然と緩む。
こういう、年代とは違ったアナログなところも気に入っているところだ。
帰宅時間までまだ時間があるとはわかっていたが、まりあの字をみたら早く顔を見たくなり、たまらなくなって迎えに行くことにした。
車に乗ってから、電話をすると。
駅前のハンバーガーショップだという。
ここから5分くらいの場所だ。
迎えに行くから待ってろと言うと、少し戸惑ったような声になったが、強引に待ってろと言って電話を切った。
結果、それが正解だったのだが・・・。