やっぱり、無理。
ハンバーガーショップへ着くと。
俺に気が付いて、慌てて立ち上がるまりあの手を、一緒にいた男が掴んだ。
その状況に頭が付いていかなくて、俺は目を見開いた。
「誰だっ?この男はっ!?」
俺の声に、ビクリとしながらも、まりあが答える前に男が口を開いた。
「同じクラスの、工藤昌。まりあの彼氏候補だけど。」
「ああっ!?ふざけたこと言うなっ!!」
「昌、その話は、断ったでしょ。」
まりあが、慌てて男にそういったが。
俺は頭に、血が上って。
「お前、浮気なんてゆるさねぇからなっ!!来いっ!!」
そういって、まりあの手を握る男の手を引きはがし、男を突き飛ばして。
まりあを担ぎ上げた。
もうその後は、まりあを車にほり込むと猛スピードで車を走らせた。
マンションに着いて。
担いだままのまりあをベッドに投げると。
その上にのしかかった。
「お前・・・何なんだよっっ、あの男はっ!?」
自分でも、声が震えているのが分かった。
信じられないことに、感情のコントロールが上手くできない。
頭の中でさっきの男がまりあを抱く妄想が駆け巡り、どす黒い感情で心が覆われていく。
頭に血液が集中したように、ドクドクと血管が波打つ。
胃も焼け付くように痛い。
だけど、まりあは。
今考えると、やましいことがひとつもなかったからだろうが。
俺の目を冷静に、正面から・・・あのそそる目で見つめて。
「・・・だから、言ったでしょう?クラスメイトの、工藤昌。」
冷めた声を出した。
その温度に、俺は焦って。
「あいつと、浮気かぁっ!?」
その時頭の中の全てをを占めて、俺を苦しめていると言っていいほどの疑惑を口にした。
だけど。
「意味が、分からない。」
まりあが、氷のような声でそう答えた。
まりあの声の冷たさと反比例したように、俺は激昂した。
「ああっ!?何がだっ!?そのまんまだろっ!?俺がいるのにっ、あの男と付き合うのかっ!?そんなこと、絶対に許さねぇぞっ!!」
そう怒鳴ると、まりあは、ポカン、とした顔をして。
「何で、恋人でもないセフレのジローにそこまで束縛されるの?」
と、ありえないことを言ってきた。