やっぱり、無理。
まったく、この男は…。
跳び蹴りをしたいという衝動をぐっと抑え。
ため息をついて、呆れてジローをみると。
ニヤリ、と嗤いやがった。
「あのな、誤解してるようだから、説明してやるけど。まりあに他の男はいらねぇんだよっ。まりあの男は俺だけ。惚れたのも、付き合ったのも、キスしたのも、ヤったのも、腰が立たねぇくれぇイきまくったのも俺だけ――「ちょ、何言ってるのっ!?ジローッ!?」あっ、うるせえ、黙れ!今俺がしゃべってんだよっ。つうか、いつまでも、他の男に囲まれてんじゃねえっ!!クソッ!!!」
そう言うと、ジローは私の体をいきなり担ぎ上げた。
ジローは、何かと言うと私が抵抗できないように、すぐに担ぎあげる。
それは、TPOを全く無視した、単にジローの勝手で。
「きゃあっ!?」
元々知能指数が高く、国内外でも評価の高い英米文学界のホープといわれる程の、頭脳派のジローだけど。
190センチ近い長身と、レスラーと間違われそうなほどの無駄に鍛えた体は、私を担いだ位ではびくともしない。
「いいか?俺が一から仕込んだカラダだ。他の野郎じゃ、満足できるわけねぇだろ?それに俺の相手してんのに、他の野郎の相手できるほど、こいつに余裕なんて与えてねえし?まあ、お前らみたいな粗末なもんを、なんてあつかましこと、考えてねえよなあ?」
「「「「「「「・・・・・。」」」」」」」
担がれ、私はジローの背中しか見えない状態で、結果的によかったのだけれど。
誰か、ジローのこの自由な口をふさいでほしい。
だけど。
結局、私は昔からこの男に逆らえない。
強引で、私に勝手な事ばかりおしつけて。
それでも、最終的にいつも受け入れてきたのは…。
私がジローに、惚れていたから。
だけど。
浮気したら、それだって――
「つうことで、東野。留学の相談はいくら東野名誉教授の依頼でも、これで断る。他をあたってくれ。今回は目をつぶるが、今後俺に昨日のような事をしたら、セクハラで訴えさせてもらう。」
突然、今までの温度と口調を変えたジローの冷たい声がして、私は体をビクリとさせた。