パステルデイズ


少年は特にこっちに目を向けることもなくただもくもくとアイスを食べている。

私も特に話しかけたりしない。



無言の空間。




でも決して居心地悪くはない。







「ねえ。間違ってたら悪いんだけどさ昨日JRの駅にいなかった?」


怪訝そうな顔でこちらを見る。




「なにその唐突な質問。」




「あなたみたいな人見かけた気がするの。私のほう見てなかった?」




少年がジッと私の目を見つめる。




端正な顔立ちに見つめられればやはり少しドキッとするのが正常な人間というものだろう。






「確かにいたけど俺が昨日見たのはこんな薄い顔の女じゃなかったよ。」






その言葉にいま自分がほぼスッピンであることを思い出した。








しまったーーーーーー!!!!


こんなイケメンと会うなら化粧くらいしておけばよかったーーーーー!!!!






とまあ後悔したところで遅いわけで。









「悪かったわね。どうせスッピン地味顔よ。」






言いながらふと思った。







「なんで私のほう見てたの?」








そう言うと少年は少し意地悪そうに言った。






「それちょっと自意識過剰じゃない?別に俺はアンタを見つめてたわけじゃないけど?」






「嘘。だって目があったもん。」







「気のせいじゃないの?ていうかアンタが俺に見とれてたんじゃない?」





「それこそ自意識過剰だわボケ。」










出会ってすぐの人とも人見知りせず話せるのは私の特技のひとつである。





どうやら彼もそういうタイプみたい。


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