パステルデイズ
昨日通った道を確かではない記憶を頼りに進んでいく。
記憶力には多少自信があるほうだ。
…がどうも見覚えのない場所にきた。
「おー…どこでミスったんだ…」
…とりあえず今きた道を戻ろう。
まあなんとかなるだろう。
うんうん。大丈夫だ。
昔から明日は明日の風が吹く精神が強い私は特に迷子かもしれないという事態を深刻には受け止めず踵を返した。
…つもりであったが。
振り返った先に寝不足の原因を発見してしまったのだ。
華麗にもう一度ターンし見なかったことにする。
そして気持ち歩く速度をあげその場を去ろうした。
…が。
後ろから軽快な足音が聞こえてくる。
嫌な予感がして振り向くとやっぱり思ったとおり昨日の彼が走って追いかけてきていた。
急いで走り始めるもすでに時遅し。
彼は足が速いらしい。
「人の顔見て逃げるなんて失礼だと思わない?」
腕を掴まれそう言われればハイ…としか返せなかった。