パステルデイズ

とりあえず事情を話し昨日の河原までの道のりを案内してもらうことになった。



「ゴミなんて捨てたに決まってんじゃん。そういうの気にするタイプなんだ。意外。」



「お気に入りの場所にゴミがあったら誰だって嫌じゃん。」



「いつからお前のお気に入りになったんだよあそこ。やめて。俺の大事な休息所なんだから。」



「ざけんな。アンタに指図される覚えはない。」



「おーい。やめるぞー案内すんの。」




軽い言葉のキャッチボールを続ける。




「大体なんであそこにいたわけ?なに?私のストーカー?」



「ほざけ。誰がお前のストーカーなんかするかよ。」




背の高い彼は歩くのが速い。
自然と私は彼を追いかける形になるためTシャツの後ろ姿しか見えない。





「そっちのがストーカーじゃね?わざわざ俺の気を引こうとご苦労様。」



「へっ。なにいってんだか。そっちのが私のこと気になってんでしょーが。」



「想像力豊かなことで。」



「私の気を引こうとしてたじゃんか。」



「はぁ?いつ俺がそんなことしたんだよ。」



「私のこと見つめてたりさ。」



「だからそれは自意識過剰だって言ってんだろーが。この狭い田舎に見たことない女がいたから見てただけ。まあとんだ化粧サギだったけど。」



「ぶっ飛ばすぞホント。アンタも十分詐欺師だわ。」



「絶対俺のが罪は軽いよね。お前は無期懲役レベルの詐欺だからね?」



「…それに私に急にアイスくれたり。キッカケづくりですか??ん??」



「大量に買ったから溶けそうだったんだよ。んでそしたら俺の休息所で見知らぬ顔面シンプル女がアイス食べたいって言ってて哀れに思ってな。むしろ恵んでやったことを感謝してほしいくらいなんですけど?」



「おい。さっきから人の顔のこと言いたい放題言ってくれてんな。そんなにアンタ言えた顔か?大したことないじゃん。」


「生憎生まれてから顔について悪く言われたことが一度もない。」



「ムカつく〜。いいとこなんて顔だけだろうが!この仮面男!」



「俺の人間性の何を知ってんだよ。」



「なんとなくわかるわ。」



「言ってみてよ。」



「取り柄は顔だけ。あとはダメっていう典型的な残念なイケメンパターン。こういうのは意外とモテない。」



「…随分な言われようで。何を根拠に?」












「女に無理やりキスを迫るような男にロクなのはいないのよ。」














そう言うと端正な顔立ちが私のほうに振り向いた。
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