パステルデイズ
一瞬なにを言われたのかわからなかった。
「…どういう意味よ。」
「そのまんまの意味。アンタ昨日なんか隠してそうだったから。」
その言葉にツーと背中に嫌な汗が流れたのがわかった。
…バレてたんだ。あの時わざと話を流そうとしたこと。
今まで誰にも悟られることなんてなかったのに。
でも確かに昨日あのままあの瞳を見続けていたらうっかりポロっとなにか言ってしまったかもしれない。
それくらいの威力がこの男の目にはある。
「俺Sっ気があんのか人が隠し事してると暴きたくなるんだよね。」
「…それSっていうかただの性格悪い野次馬根性って言うのよ。」
「まっそういうわけで期待させて悪いんだけど別にキスしようなんて気はサラサラないから。」
そういうとパッと手を外してきた。
「まさか頭突きされるなんて思ってなかったけど。」
「お生憎様。私はそこら辺の女みたいに騙されたりはしないわよーだっ。」
「よく言うよ。顔真っ赤にしてたくせに。」
「ちょうど夕暮れ時だったから夕日が当たってたんでしょ。」
「苦しくね?その言い訳。」
自分でもそう思ってただけにツッコまれると気恥ずかしい。
「うるさい。この女ったらし。」
「モテない人間の嫉妬は見苦しいって知ってたか?」
「私モテるもん‼︎」
そうこう言ってるうちに見覚えのある風景が広がる。
そこはまさしく昨日の河原。
「うわっほーい‼︎」
走って河原に行くと思いっきり草むらに寝転がった。
寝転がるとジリジリと熱い太陽の日差しがダイレクトでくるけどそんなのお構いなし。
目を閉じて草むらの匂いと微かな風を感じる。
あぁ、やっぱりここ落ち着くなぁ。