パステルデイズ




そのまま空白の時間が流れる。





だが、今日のこの無言の空気はいつもみたいな居心地のいいものではない。








「…ごめん。」







一言言うののが精一杯で。







「なんで謝るの?別にいいよ。」








こっちを見ないまま彼は言う。








「いや無神経だったから…。」




「別に知らなかったんだから、仕方ないだろ。」




「でも、ごめんね。そんなつもりはなかったの、ほんとに。」




「…そんなつもりってどんなつもり?」



「だから、傷ついた思い出に触れちゃったから…」





ここで彼が私の方を見た。






こっちを見たその目はいつもとは違う、鋭い目つき。





その目に少しゾッとする。






「お前さ、案外他の奴と変わんねぇのな。」






それは人を蔑むような口調と目で。





「傷ついた思い出ってなんだよ。知ったようなこと言うなよ。」






初めて聞くような低い声だった。






「それって、俺のこと心配してるわけじゃなくて、人のことを心配してる優しい心持ってる自分に酔ってるだけだろ。」






「同情なんていらねぇよ。」









その言葉は私の中にグサリと刺さった。




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