電車で見かけるあの子
冬になると布団が恋しくなる。
だんだんと布団から出られなくなっていくようになって、これはいかんと起きても、やっぱり寒くて戻る。
そんなこんなで、いつもの時間よりも何分も遅れた日があった。
冬になるとそういう日は何日か出てくるけど、ある時、遅れた上に途中で腹を壊して、ただでさえ遅れてる電車を降りてトイレに行った。
トイレからホームに戻った時はもう遅刻するかしないかの瀬戸際で、どうやって学校に行けば近道か、最寄りから学校までの道を何回も頭の中で考えていた。
そんな状態だったから、電車が来てもとにかく乗って、近くにいる人のことも気が向かなくて、あの子がいるのにすぐに気が付かなかった。