電車で見かけるあの子


俺はその日、車両を変えた。


それから、いつもの時間ならもうその子に会うことはないだろうと思って、絶対寝坊しないようにした。


友だちには
あの子に対する気持ちに気付いたけど、辛いから辞めるって言った。

『やめるっつってやめられたら、誰も苦労しないのに、お前アホだなー』

て笑われた。それと

『話しかければいいもんを…』

つってるのが聞こえたけど、俺に直接言わないあたり、それはないことは分かってるみたいだ。

あれから勉強をめちゃくちゃして、あの子のことを忘れようとした。他の子を好きになろうとしたり、遊びに夢中になったり、色々頑張った。


結局気持ちは、なくなりはしないけど、だんだんなくなりそうなくらい小さくなった。

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