電車で見かけるあの子

「結構帰りも一緒なんだね」


“あ、うん、そうだね！”

「じゃあ登下校中に案外何回もあってたかもしんないね」

“あ、”

会ってたよ。私はずっと気にしてたよ、会えない日は寂しくて会いたくて仕方なかったよ。今話せてるのが夢みたい。同じ大学行けるのも嬉しい。これからもたくさん話したい。


思ったことは何も言えるわけなくて、
私は喉まででかかった言葉たちを飲み込んで彼に返した。

“そうだね、
気が付かなかったな〜”



他愛ない話をしていたら、あっという間に彼が降りる駅になった。

私は彼より早く降りて乗り換えをするって手もあったけど少しでも彼といたくて、少し帰り方が面倒な、彼より先の駅で乗り換えることにした。

「じゃあまた」

彼はそう言って席を立った。